そう思ったのは確か入社して1週間も経たなかった頃だと思う。
気持ちとは裏腹に、その後10年ほど勤務することになることはこの時の私は知る由もない。
当時は真面目な性格も相まって定年するまで勤める覚悟もあった。
しかしながら、具体的な将来設計はないまま道を歩き出していたのである。
当時卒業を間近に控えた大学4年生。
私はとても焦っていた。
周りの友達はとっくに就職が決まっていて、卒業旅行の話も出ていた頃だ。
マイナビやリクナビなどの募集もなくなってきていて、
唯一就職が決まっていなかった地元の友人からハローワークでの求人があると聞かされ、
重い足取りで最寄りのハローワークに通っていた。

そこで友人の運命の出会いがある。
『あの人かっこいいよね』
ある日その友人といつものようにファミレスでランチをしていた時、友人がふと口にした。
ハローワークの窓口で仕事を紹介してくれる人の中で、
唯一若いお兄さんがいて、私はすぐにその人のことだとわかった。
何しろ他にいるのは自分の父よりも年上であろうおっさん達だったのだ。

それから数日経って、友人に言われた。
『あの人に連絡先を聞くからついてきて!』
私の人生って、よくこうゆうことがある。
学生の頃もよく友人がチョコレートを渡すから一緒に来て!と言われることがあった。
きっとあまり存在感がないのがポイントなのではないかと思う。
連絡先を聞く当日。
ハローワークが終わる夕方に友人と駐車場に身を潜める。
お兄さんが車で来ているといる情報はなぜか友人が掴んでいた。
そして、今思えばかなりやばい行動である。
『きた!!!』
心臓が高鳴る。
お兄さんが現れた。
『行ってくる!』
友人は小走りでお兄さんの元に向かった。

すごいなぁと思う。
若いからできたことだと思う。
今思えば、もっと挑戦できたことあるよなぁとも思う。
とにかく、友人はお兄さんに連絡先を渡したのだった。
『渡せた!』
興奮気味に友人が帰ってきた。
その後、
興奮が冷めやらないまま友人の家で過ごしていると、
お兄さんから連絡が来た。
友人と私は終始興奮していた。
あの日のことは忘れないんじゃないかと思う。
なんでかというと、それから3年後、友人とお兄さんは結婚することになるのだ。

今回は就活中にあった友人の話になってしまったが、
次回は自分の話を進めていこうと思う。
ヤバい会社に就職(妻のブログ2)