社内のストーカー(妻ブログ8)

以前お局の連帯責任制度をお話ししたが、
その制度は言い出したハゲが特に終わりにすると言う発言もないままヌルッと消えていった。



そんな中忙しい年末時期に入り、私も残業で残ることが多くなった。



ここで問題なのは、
事業所が駅から歩いて一時間の位置にあり、
行き帰り一本しかない会社のバスを逃したら歩いて帰る、誰かに乗せてもらうしかないということだ。



唯一女性で頼れるお局があれなので、歩いて帰っていたが、真っ暗の中街頭も何もない道を歩くのはかなり憂鬱だった。






『乗っていきなよ』





そんな中、違う部署の男性が声をかけてくれた。







最初は断ったが、歩いて帰ることを知るともの凄い勢いで止められ、乗せてもらうことになった。






この時、私は知らなかった。






彼が社内で有名なストーカー男だと言うことを。


30代後半の独身ストーカー男は、昔から社内の女子をすぐ好きになってしまい、
その女子の髪の毛を採取したり、
女の子の自転車のサドルを顔面にスリスリしたり、
同僚の奥さんのストーカーになって家を隠し撮りしたりと
いった控えめに言えば犯罪行為を繰り返していた。





社内のほぼ全員はそれを知っているので彼に近づこうとしなかったが、私には寝耳に水であった。





そこからは毎回残業になると、ストーカーが現れ、乗せてもらうということになった。




ただ乗せてもらうだけでは終わらない。
なぜか夕食を食べることになったり、駅までで良いのに用事があるからと全く別方向の私の家の前まで送ってもらうことになっていた。





夕食を奢ってもらうのが申し訳なかったし、借りができるのが嫌だったので自分のお金をだしたら
なぜだかもっと気に入られてしまい何だかいろいろしくじってしまった。





毎日のようにLINEが送られてきた。






『おはよう、今シャワー浴びたところ♪』



『今用事があって家の近くにいるよ♪』



『おやすみ♪』



『結婚してくれたら家を買ってあげる!』




『仕事をやめてもやめなくても、やりたいようにしていいよ!』






配信停止にしたい内容が次々と送られてきた。






いつの間にか本人の意思そっちのけで、結婚の方向にも向かいつつある。





誤解がないように言っておくが、私は容姿が優れているわけでない。

社内に若い女子がいなかったことと人見知りもある大人しめな性格がこのヤバイ会社の人にマッチしてしまったのである。





その頃は旦那と仲良くなってきた頃で、思い切って相談してみることにした。旦那は男性目線でたびたびアドバイスをくれ、段々と上手くかわせるようになってきた。




そんな中、旦那と私が付き合ってるんじゃないかという噂が広がり、それはストーカーの耳にも入った。





『なんで言ってくれなかったの?!』







ストーカーにはなぜか責められた。





そして、ストーカーは陰であらぬ噂を流しはじめた。

















私はついにブチ切れた。





ある日、
ストーカーを男子トイレの前で待ち伏せて出てきたところで、





『ストーカーさん、噂を流すのをやめてください。』






私は我も忘れ鬼の形相だったようで、ストーカーは普段の大人しい私との落差にビビって焦り必死に言い訳していた。






10以上も歳が離れた相手にトイレで待ち伏せされてブチ切れられる男。





冷静に考えるとかなりヤバく、可哀想にも思えてくる。





その後、ストーカーは懲りたようでLINEも来なくなり、再び平穏な日々が戻ることとなった。





良いのか悪いのか不明だが、少しずつ、私はこのヤバイ会社にも順応できるようになっていたのであった。



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