会議中、同期の男の子が発言した。
全社で来年の社内での役割を決めていた時のことだった。
社内では、旅行幹事、ゴルフ部、園芸部などといった役割が
あり何年かに一回は必ず回ってくることになっている。
旅行幹事やゴルフ部は決められた
予算の中で年に何回か行事を計画運営するもので、
園芸部は社内の花の管理や草花の苗の配布を主にやっている。
その中でも園芸部はほぼ毎年若手の新入社員がやることが暗黙の了解だ。
同期の男の子と私は一年間園芸部を任されていたが、
次の年は新入社員がいないという理由で引き続き私達が任されたのだった。
『一年やったのに、おかしいじゃないですか』
同期は、周りの不穏な空気に屈することなく続けた。
確かに、おかしい。
花を植えたりするのも貴重な昼休みを使って行ったり、
草花の苗の配布も勤務時間以外の買い出し手配や配布が大変な割に、
いらないという人もいて(電車の人は持って帰れない)この一年はかなりストレスを抱えていた。
そんな中でやる人がいないから次の年もよろしく、
と言われても納得できないのは当たり前だろう。
そもそも、
若手がやらなくてはいけないということはなく、
毎日暇そうに居眠りをしている部長がやればいいじゃないか。
『あの、もう一年お願いすることは難しいですか?』
あきかに戸惑いながら議事長が同期に尋ねた。
課長達も怪訝な顔をしている。
『やりたくないです!』
私の同期は空気が読めないタイプだった。
それは、
褒め言葉で、良い意味で空気が読めないのだ。
無駄に空気を読んで、自分に不利なことを受け入れようとしない。
それを要領よく遠回しに言うのではなく、
猪突猛進で自分の頭に浮かんだことをそのまま言う。
普通だったら社内で浮いてしまう存在になるだろうが、
同期はそれを面白がられていて上の人にも気に入られていた。
しかし、今回の件は上の人達も眉を顰めていた。
『園芸部は廃止でいいんじゃないですか』
若手の先輩から助け舟がでた。
若手はみんなそう思っている。
強制参加の社員の旅行も行事も、
わざわざ休みの日を無駄にしてまでやる意味はないと思っているのだ。
いつまでも昭和にしばられた孤島に取り残されているのはおかしいと思いつつ、
上の人がいなくなるまでの辛抱だ、とも思って過ごしている。
結局、
その後もなかなか大波乱の会議になったが、
結局園芸部は別の人がやることで落ち着き、
会議は終わった。
同期は後々嫌味を言われたようだが、やらなくてすんでよかったといっていた。
やりたくないことはやりたくない。
社会人になったら、そんな当たり前の気持ちもなぜか蓋をしていた。
自分が我慢すればこの場はおさまるとか、
事態を早く収拾するために言いたいことを言うのはやめようと、そう考えていた。
こんな自分を変えたいとも思うが、人間そう簡単に性格が変えれたら苦労しない。
そして、ある事態に巻き込まれるのである。
その話はまた次の機会に。
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