うちの会社は全体的に年齢層が高く、1番多いのが40代50代でそれ以下が圧倒的に少ない。
そんな中、現場に高卒の新入社員の男の子が二人入ることになった。
ひとりはひょろっとした眼鏡の大人しめな男の子。
もう一人は小柄な坊ちゃん狩りの男の子である。
平穏であってくれ、という願いもむなしく、しばらくして不穏な空気が流れた。
坊ちゃんは声が劇的に小さく、挨拶が出来ず、返事も出来なかった。
先輩を呼ぶ時は手招きして、決して自分からは行かない。
どうしても気づかれない時は肩をポンポンと叩く。
ある時、坊ちゃんが先輩と同行することになった。
あろうことか、彼は先輩の真後ろを常に歩いた。
お昼にガストで先輩が、
『奢りだから好きなものを食べな』
と言った瞬間、間髪入れず山盛りポテトを追加注文。
しかも、残した。
また違う日に、休憩室で誰かが差し入れた団子をみんなで食べていた時、
お礼も言わず素早く最後の団子をとって自分の席に戻ってみんなを圧倒させた。
彼のLINEを知っている人からの情報によると、タイムラインに会社の愚痴をつらつらと書いているとのことだった。
そんなある日、事件は起きた。
『大変です !現場で・・』
ある日突然、現場の人が事務所に助けを求めてきた。
上司が駆けつけたところ、現場で一緒に働いていたストーカーが、坊ちゃんをかなりの長時間怒鳴りつけていたらしい。
怒鳴りつけただけでなく、太ももに蹴りを入れたらしい。
ストーカーは男性には厳しく、今までも現場は彼が原因で何人も辞めている。
いくら坊ちゃんがミスをしたからといって、自分より20も離れた歳下の部下をよくも長時間怒鳴って暴力まで振るうなんて、心底引いた。
その事件が主な原因となり、坊ちゃんは辞めることとなった。
辞めた後、会社に良い思い出なんてあるはずないのだが、坊ちゃんは趣味のバイクで会社まで来てバイクと会社のツーショットをSNSに投稿するという奇行にでた。
『大変です!!!』
ある日の業務後に、ストーカーが事務所に慌てて入ってきた。
『坊ちゃんが・・』
聞くところによると、
ストーカーは会社の門の外から女性に話しかけられたので振り返ったらしい。
すると、
そこにはなんと、女として生まれ変わった坊ちゃんがいたというのだった。
よりにもよって、なぜストーカーに声を掛けたのか。
彼は何がしたかったのか。
謎に包まれたままである。
余談になるが、同期入社のもう一人の眼鏡くんも、声が小さくオドオドしているタイプだったが、坊ちゃんのお陰で相対的評価が良く、前評判は良かったものの、現在は大苦戦中である。
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