結婚式当日。
せっかくの晴れ舞台なのに、まずは社長がドタキャンをしないか不安でハラハラしていた。
祝辞も社長と工場長に頼んでいる。
式が開始して社長がいることがわかった瞬間はひとまず安堵した。
そして、式も順調にはじまり、社長からの祝辞となった。
社長は緊張しているようで、顔色もあまりよくない。
ポケットからメモ用紙を取り出し、読み出した。
私達ははじめに立たされ、社長のメモを読みながらの祝辞が終わるまで棒立ちで、晒し者となった。
社長の手は震えていたらしく、
後々友人にも
『社長は緊張していたみたいだけど、大丈夫か』
と心配された。
工場長の祝辞もその後にあった。
社長、工場長にそれぞれ御礼金を渡したが、御礼するほどの内容ではなかったということは言うまでもない。
式も終盤になり、感動のエンディングムービーが終わり、最後に出席者を見送る時になって事件は起きた。
ガッシャァァァァーーーーーン!!!!
突然の音に参列者が全員音のする方に注目した。
なんと、工場長が酒を飲みすぎて酔って倒れたのである。
一体、どこまで迷惑をかけるのか。
目の焦点が定まってなかったので、救急車を呼ぶかという大騒ぎとなった。
今日は、私達の結婚式。
人生最大の晴れ舞台である。
主役は何故か、目を白黒させて倒れている工場長となっていた。
不幸中の幸いで、旦那のお義兄さんのお嫁さんが看護師ということもあり、迅速な対応をしたことで、救急車を呼ぶまでには至らないで済んだ。
参列者が帰り、両親と私達で最後の挨拶をしている感動的な場面に、何故か工場長とそれに付き添う会社の人がいた。
部外者は一刻も早く帰って欲しかったのだが、工場長は大事をとってまだ休んでおり、会社の人もほっておくことはできずお互い居心地が悪い時間が続いた。
もう一度言うが、今日は私たちの結婚式。
人生最大の晴れ舞台である。
週明け、会社で御礼に行くと、工場長は、
『飲みすぎちゃってさ〜』
と、全く悪びれることも謝ることもなく、ただ笑っていたので殺意が芽生えた。
余談になるが、工場長の御祝儀は友人と同じく3万円だった。
会社の人の引き出物はランクをあげたのと、祝辞の御礼金を差し引いたら、確実に友人より安くなる。
社長ではなく、工場長がドタキャンしてくれた方がよかったのではないかと感じた。
こうして、私達の人生最大の晴れ舞台は幕を閉じたのである。
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